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「今あるリソースをしゃぶり尽くす』

 少し前になるのですが、筑波大学の松崎一葉先生の講演を聞きました。ご専門は、予防医学、分子物理学ですが、宇宙飛行士の選抜、育成にも携わっています。実は、その内容に大変ワクワクしたのです。彼が言うには、日本人は、「今ある(自分が持つ)リソースをしゃぶり尽くす」力が少ない、日本人は、この力においては「世界で一番弱い」と。私には、ちょっとショックでさえありました。と同時に耳がダンボになりました。この「しゃぶり尽くす」と言う言葉が、私には強烈でとても印象的でした。私なりに考えてみました。つまり、これは、今あるものを「活用する」と言った軽いものではなくて、しゃぶり尽くしてやっと宇宙船のストレスの中で生き残る、と言うことなのだろう、と納得しました。

 宇宙船の中のストレスはどんなものなのかは私の想像を超えてしまうのですが、あえて頑張って想像してみますと、私は少し恐怖さえ覚えてしまいます。それは逃げられない宇宙船の中のことです。だから、何がなんでも生き延びる、と言うとてつもなく強い覚悟とタフなマインドが必要なのだろうと察します。同時に、尊敬の念を彼らに覚えます。

 先生の話しの中で私にとって気になるもう一つの言葉が、「今あるリソース」。この言葉はどう言うことか。それは、今はないけれど「あればなー」というような軽いことではなく、今現在持っている全てのことを指すのだと、私は思います。「今あるリソース(自分が今持っている全てのもの)をしゃぶり尽くす」力――これが、ストレス状況での対応力なのだ、と。これを私流に解釈すると、癖のように自分にこびり付いた無い物ねだりや完璧主義をやめて、「今ある自分の全て、もろに全部を引き出して降りかかるチャレンジを克服する」強い気概と信念のようなものなのでしょうか。

 ストレス対応に寄与するプラクティスはいろいろありますが、瞑想もその1つと言われ、免疫を上げることが科学で証明されています。以前、タイの洞窟に閉じ込められたサッカー少年たちが無事救助された事件がありましたが、彼らが長期に亘り、精神の健康を維持できた理由の一つに瞑想が挙げられていました。今流行りのマインドフルに通じるものがあります。マインドフルを簡単に言えば、頭の中の考えや判断を横において「今、ここ」を意識することです(これが単純そうで厄介でもありますが)。では、日常生活で簡単に実践するには?ただ、気がついた時に深呼吸をする、特に息を長―くゆっくり吐く。または、1日に1分間から2分間の深呼吸、これだけでも始めてみてはどうでしょうか。気持ちが楽になるかも、ですよ。