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浦島太郎と桃太郎

桃太郎と浦島太郎、どっちが好き?

 宇宙飛行士を育てている、私の前回の筑波大学の人間総合研究所の松崎先生の話の中からもう一つです。(前回のニュースレター「今あるリソースをしゃぶり尽くす」を参照ください。)

 まず、「桃太郎と浦島太郎のどちらが好きですか」と尋ねられ、あなたは直感でどちらを選ぶでしょうか。。。松崎先生は、宇宙飛行士には共通点があると言うのです。先生によると、宇宙飛行士に合格する人は、なんと全員が「浦島太郎」と答えるそうです。

 考えてみると、浦島さんは(あまり意味もないのに)亀を(救いたいから救い)、そしてあまり危険を感じずに龍宮城にも行ってしまった。直感に従い、やりたいことをやるタイプと言えるでしょう。そう考えると、宇宙飛行士になりたい人全員が浦島太郎という答えはなんとなく納得ができるような気がします。しかし、先生は、このようなタイプは今の多くの企業ではあまり評価されず、「意味もないことに夢中になる」ことは「非効率的」と判断され切り捨てられる傾向があり、問題だとおっしゃっています。社会が一方に偏りすぎていると警告を発しているのでしょう。さらに、「情緒を広く持つこと」が大事だとも述べています。

 そして、そう言う性格、つまり情緒を広く持つ性格や性質を育むためにはどう育てればいいのでしょうか?

 先生によると、それはお母さんとのたくさんの思い出だったり、虫といっぱい遊んだことであったりなどを例として挙げられました。確かに、桃太郎は、鬼ヶ島攻略のために(多分!)さまざまな状況を分析し、家来の力を活用し、自分たちに勝利(成功)を導く、これは実に合理的で効率が良いように思えます。一方で、浦島太郎は、攻略、分析、活用、成功などからは縁遠いですが、情緒の点では桃太郎に秀でているのかもしれません。言い換えれば、「頭」の桃太郎に対し、「ハート」の浦島太郎、と言えるのかもしれません。

 もっとも社会にとっては、どちらも大事ですよね!

 

 桃太郎も浦島太郎も両方大事、つまり多様性が大事であると言うことだと思います。国際マネジメント学で著名なナンシーアドラー博士(McGill 大学、カナダ)の本には、多様性に富む組織は、「アイデア創造や危機対応などに大変強い」ことが調査に基づいた視点から示されています。同様に、問題も同じレベルで多く発生もすると書いています。

 筑波大の松葉先生が警告されているように、日本の社会があまり一方に傾いている現状において、自分はどうか、効率主義に走りすぎていないか、と内省する機会をいただいたと思います。